動画制作の著作権は「お金を払えば発注側のもの」ではない|権利4種と契約で決める7項目|HolyTech
目次
- 動画制作の著作権は4種類の権利に分けて考える|帰属と契約で決めること
- 「お金を払った動画は発注側のもの」は誤り|文化庁と条文が示す4つの原則
- 原則1:著作者は「実際に創作した受注者側」
- 原則2:譲渡契約でも、第27条・第28条を書かないと制作側に残ると推定される
- 原則3:著作者人格権は譲渡できない
- 原則4:動画は「映画の著作物」に当たりうる
- 発注側が困る4つの場面|編集データは著作権と別の約束
- 場面1:SNS用の動画を広告やLPに使いたい
- 場面2:別の制作会社で修正したい(編集データ)
- 場面3:出演した社員が退職した
- 場面4:BGMで媒体を変えると止まる
- 権利の決め方3パターンの比較|譲渡・利用許諾・範囲を絞った譲渡
- 譲渡まで求めるべき企業/利用許諾で足りる企業
- 契約前のチェックリスト7項目|制作会社に聞く質問つき
- まとめ:動画制作の著作権は「使い道」から逆算して契約で決める
- 権利の範囲まで決めてから、1本の無料お試しで確かめてください
- よくある質問(FAQ)
動画制作の著作権は、制作費を払っても原則として制作した側に発生します。文化庁の説明と著作権法の条文をもとに、権利4種の帰属・発注側が困る4場面・譲渡と利用許諾の比較・契約前に決める7項目を整理します。個別の判断は弁護士等にご確認ください。
結論から言います。「お金を払って作ってもらった動画の著作権は、発注した会社のもの」は誤りです。文化庁は、著作物の創作を他社に委託した場合、料金を支払ったかどうかにかかわらず、実際に創作した受注者側が著作者になると説明しています。譲渡契約でも翻案権等(著作権法第27条・第28条)を明記しないと制作側に残ると推定され、著作者人格権は譲渡できません。「編集用データを受け取れるか」も著作権とは別の約束です。使い道から逆算して、契約前に権利の範囲を決めてください。
本記事では、SNS運用代行 累計250社以上の株式会社HolyTechが、権利4種の帰属、発注側が困る4場面、権利の決め方3パターン、契約前の7項目を整理します。2026年10月時点の公開情報にもとづく一般的な情報提供で、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士等の専門家にご確認ください。具体的な支援の流れは低価格特化のショート動画制作サービスの詳細をご覧ください。
本記事と併せて、『ショート動画の教科書』を資料ダウンロード(無料)もご活用ください。
動画制作の著作権は4種類の権利に分けて考える|帰属と契約で決めること
外注した動画には、少なくとも4種類の権利が重なっています。
| 権利 | 初期状態で誰にあるか | 発注側が困る場面 | 契約で決めること | 確認先(公式) |
|---|---|---|---|---|
| ① 著作権(財産権:複製・公衆送信・翻案など) | 原則として制作した側(受注者) | 広告への転用、別の媒体への再投稿、短く切り出した版の作成 | 譲渡か利用許諾か、範囲(媒体・期間・地域)、第27条・第28条の権利を含むか | 文化庁 |
| ② 著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権) | 著作者(譲渡できない) | 別の制作会社での修正、テロップの差し替え、尺の短縮 | 不行使の特約を置くか、氏名表示の扱い | 文化庁 |
| ③ 出演者の肖像権・パブリシティ | 出演した本人(法律の明文はなく判例で確立) | 退職した社員・終了したモデル契約の出演動画の扱い | 同意の範囲(顔・名前・期間・媒体)、退職・契約終了後の扱い | 弁護士等 |
| ④ BGM・素材・フォントのライセンス | 各権利者(作曲者・音源製作者・素材サイト等) | 広告配信、YouTubeへの転載、媒体を変えた再投稿 | 音源・素材の入手元、商用利用と広告利用の可否、誰が許諾を取るか | JASRAC・各素材サイトの規約 |
①②は著作権法、③は判例(文化庁「著作権テキスト(令和8年度版)」は肖像権・パブリシティ権を「判例によって確立された権利」と説明)、④は各権利者とのライセンスの問題です。SNS運用代行全体の法律はSNS運用代行の法律は代行会社任せにできない|発注側が負う7つの規制で扱っています。
「お金を払った動画は発注側のもの」は誤り|文化庁と条文が示す4つの原則
制作費を払ったので、動画の著作権は発注した会社のもの
本記事の訂正ポイントです。
▼このコンセプトの「型」が分かる参考動画(弊社クライアントではない公開アカウント)
・webマーケターの例:「新しい情報であると冒頭で伝えることで「乗り遅れたくない」という人の心理を刺激する」(@osaru_tiktok1)
https://www.tiktok.com/@osaru_tiktok1/video/7578889104125889799
・tiktok分析の例:「視聴者にとって簡単に実践できたり学びになる情報を伝える。」(@tokken_tiktoke)
https://www.tiktok.com/@tokken_tiktoke/video/7578474358419557640

原則1:著作者は「実際に創作した受注者側」
著作者は「著作物を創作する者」です(第2条第1項第2号)。文化庁の著作権テキストは、創作を他人や他社に委託(発注)した場合は「料金を支払ったかどうか等にかかわりなく、実際に著作物を創作した『受注者側』が著作者となります」と明記し、発注側が納品後に利用するには、あらかじめ契約を交わしておく必要があるとしています。社員が業務で作る「職務著作」(第15条)は社内制作の話です。
原則2:譲渡契約でも、第27条・第28条を書かないと制作側に残ると推定される
著作権は全部または一部を譲渡できます(第61条第1項)。ただし、譲渡の契約で第27条(翻訳権・翻案権等)・第28条(二次的著作物の利用に関する権利)が「特掲されていないとき」は、譲渡した者に留保されたものと推定されます(第61条第2項)。文化庁は、これらを含めて譲り受ける場合、契約書に「すべての著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を譲渡する」と記載しておく必要があると説明しています。「著作権は発注者に帰属する」の一文だけでは、編集し直した版や切り出し版を作る権利が制作側に残ると推定されうる、ということです。
原則3:著作者人格権は譲渡できない
著作者人格権は著作者の一身に専属し、譲渡できません(第59条)。そのため実務では「行使しない」旨の特約(不行使特約)を置く例があり、文化庁は著作者側の不利益にも注意を促しています。
原則4:動画は「映画の著作物」に当たりうる
文化庁は、ビデオなどの「録画されている動く影像」を映画の著作物の例に挙げています。映画の著作物は、著作者が映画製作者に製作への参加を約束しているとき、著作権(財産権)が映画製作者(製作に「発意と責任を有する者」)に帰属します(第29条第1項)。外注動画で発注側と制作会社のどちらが映画製作者に当たるかは個別の判断です。だからこそ、条文に任せず契約で書くのが確実です。外注を検討する場合はショート動画運用代行サービスの詳細(初期費用0円・1本無料お試し)も参考にしてください。
発注側が困る4つの場面|編集データは著作権と別の約束
| 場面 | ①著作権 | ②人格権 | ③肖像権 | ④BGM・素材 | 編集データ | 発注時に決めること |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1. SNS用動画を広告・LPに使う | ● | - | - | ● | - | 二次利用の範囲と費用 |
| 2. 別の制作会社で修正する | ● | ● | - | - | ● | 第27条・第28条、不行使特約、データ受け渡しの範囲と対価 |
| 3. 出演した社員が退職した | - | - | ● | - | - | 同意の範囲(顔・名前・期間・媒体)と退職後の扱い |
| 4. 媒体を変えたらBGMで止まる | - | - | - | ● | - | 音源の入手元、広告利用の可否、誰が許諾を取るか |
権利が問題になるのは、納品後に別の使い方をしたくなった時です。弊社の現場の実例です。
場面1:SNS用の動画を広告やLPに使いたい
インフルエンサーに制作・投稿を依頼した観光送迎サービス事業者の案件では、二次利用費7,000円(税込)で、編集前の撮影素材と編集後の動画の両方の共有・転載許可を得て、広告やLPにも使えるようにしました。使い道が決まる前でも、二次利用の範囲と費用は発注時に決めておけます。
場面2:別の制作会社で修正したい(編集データ)
別会社で修正する時に必要なのは、完成動画ではなくプロジェクトファイル(編集ソフトの作業データ)と撮影素材です。弊社でもヘッドスパ専門店の修正では、編集者からプロジェクトファイルを共有してもらい対応しました。2026年6月24日に公正取引委員会・中小企業庁・特許庁が公表した「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」は、映像制作の取引で、契約内容に含まれない加工可能データや撮影素材データの無償提供を一方的に求めることを「問題となり得る事例」として挙げています。編集データの受け渡しは、契約の範囲と対価を決めて頼むのが前提です。
場面3:出演した社員が退職した
出演者ごとに「顔は出してよいが名前は出さない」「期間限定なら可」など、許容範囲は人によって違います。同意は1人ずつ、範囲(顔・名前・期間・媒体)と退職後の扱い(公開継続/非公開/差し替え)まで書面で決めます。
場面4:BGMで媒体を変えると止まる
漢方薬局のショート動画では、TikTok向けに作った動画をYouTubeへアップロードしようとして、BGMの権利の関係でアップロードできなかったことがあります。ヘッドスパ専門店の案件でも、BGMの権利を理由に途中から曲を変更しました。JASRACは、特定の企業・団体や商品・サービスを宣伝する動画をアップロードする場合はあらかじめ「広告目的複製」の手続きが必要とし、市販のCDやダウンロードした音源を使う場合は著作権とは別に著作隣接権(音源製作者やアーティストの権利)の許諾が必要としています。複数媒体に投稿する企業には、弊社はBGMなしで納品し、投稿時に各媒体の音源を選んでもらうこともあります。保存・再利用の線引きはTikTok動画のダウンロード方法・YouTubeのサムネをダウンロードする手順、SNSのロゴを動画に入れる場合はSNSのロゴは使ってよい|6媒体の公式ガイドライン比較を参照してください。
権利の決め方3パターンの比較|譲渡・利用許諾・範囲を絞った譲渡
(第27条・第28条を含む)+人格権の不行使特約
長く使い回す/別会社で修正する予定がある/テレビCM・Web広告に出稿する
(ライセンス)
SNS短尺を毎月入れ替えて投稿/媒体が自社アカウントに限られる
・二次利用費の追加
反応の良い動画だけ広告に回したい
権利は二択ではありません。文化庁も、著作権は支分権ごと・期間限定・地域限定で分割して譲渡できると説明しています。
| 決め方 | 発注側の自由度 | 費用・交渉への影響 | 向いている企業 | 契約書で見るところ |
|---|---|---|---|---|
| 著作権の譲渡(第27条・第28条を含む)+人格権の不行使特約 | 高い。改変・転用・別会社での修正がしやすい | 権利の対価が上乗せされやすい。対価なしの一方的な要求は指針上問題となるおそれ | 会社紹介・採用など長く使い回し、別会社で修正する予定がある企業 | 第27条・第28条の明記、不行使特約の範囲、編集データの扱い |
| 利用許諾(ライセンス) | 決めた範囲(媒体・期間・地域)の中だけ | 制作費を抑えやすい | SNS投稿中心で、使い道が決まっている企業 | 許諾の範囲、広告利用の可否、契約終了後の掲載継続 |
| 範囲を絞った譲渡・二次利用費の追加 | 必要な範囲だけ広げられる | 二次利用費を別建てで払う | 反応の良い動画だけ広告に回したい企業 | 対象の動画、追加費用の決め方、素材の受け渡し |
2026年6月の公取委等の指針は、受注者に帰属する著作権について、対価を払わずに発注者へ帰属させる契約を一方的に結ばせることや、著作者人格権の不行使を一方的に設定することを、優越的地位の濫用として問題となるおそれがある行為として示しています(動画制作・映像制作の事例も掲載)。発注側も「権利をもらうなら対価とセットで協議し、書面に残す」のが安全です。見積書の内訳の読み方は動画制作の見積もりは最安に頼まない|内訳7項目の読み方と同条件の相見積・実質単価の換算で整理しています。
譲渡まで求めるべき企業/利用許諾で足りる企業
譲渡まで求めるべき企業
- 同じ動画を採用・営業・展示会など複数の場面で長く使い回す
- 将来、別の制作会社や社内で編集し直す予定がある
- 動画をテレビCM・Web広告に出稿する計画がある
利用許諾で足りる企業
- SNSの短尺動画を毎月入れ替えて投稿する(1本あたりの寿命が短い)
- 使う媒体が自社アカウントに限られる
- 権利の対価より本数を優先したい
契約前のチェックリスト7項目|制作会社に聞く質問つき
| 項目 | 制作会社に聞く質問 | 良い答え |
|---|---|---|
| 1. 権利の帰属 | 著作権は譲渡ですか、利用許諾ですか | どちらかを書面で示し、範囲(媒体・期間・地域)を明記する |
| 2. 第27条・第28条 | 譲渡の場合、第27条・第28条の権利も含みますか | 「含む」と条文番号で書く |
| 3. 著作者人格権 | 改変や別会社での修正に、人格権の行使はありますか | 不行使特約の有無と範囲、氏名表示の扱いを示す |
| 4. 編集データ・素材 | プロジェクトファイルと撮影素材は受け取れますか。費用は | 受け渡しの可否・形式・費用・保管期間を答える |
| 5. 出演者の同意 | 同意書は誰が取り、退職時の扱いはどうしますか | 雛形があり、非公開・差し替えの手順を示す |
| 6. BGM・素材 | 音源・素材の入手元と、広告利用の可否は | 入手元とライセンスを記録し、媒体ごとの入れ方を事前に相談する |
| 7. 契約終了後 | 解約後も公開済みの動画を掲載し続けられますか | 掲載継続の可否を契約書に書く |
条項の作り方はSNS運用代行の契約書は雛形どおりで済まない|トラブルが集中する3条項と確認10項目を参照してください。公取委等の指針には附属資料として「契約書ひな形」も公表されています。最終的な条項は弁護士等の専門家に確認してください。
まとめ:動画制作の著作権は「使い道」から逆算して契約で決める
- 外注した動画の著作者は、料金の支払いにかかわらず実際に創作した受注者側(文化庁)
- 譲渡契約でも第27条・第28条を特掲しないと制作側に留保と推定され、著作者人格権は譲渡できない
- 編集データ(プロジェクトファイル・撮影素材)の受け渡しは著作権と別の約束。範囲と対価を決めて頼む
- 決め方は「譲渡/利用許諾/範囲を絞った譲渡」の3つ。長く使い回すなら譲渡、SNSの短尺中心なら許諾で足りる場合もある
- 契約前の7項目を書面でもらい、個別の判断は弁護士等に確認する
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よくある質問(FAQ)
Q1. 制作費を全額払えば、動画の著作権は自動的に自社のものになりますか? なりません。文化庁は、創作を委託した場合は料金を支払ったかどうか等にかかわりなく、実際に創作した受注者側が著作者になると説明しています。発注側が自由に使うには、譲渡または利用許諾の契約が必要です。個別の判断は弁護士等の専門家にご確認ください。
Q2. 契約書に「著作権は発注者に帰属する」と書いてあれば十分ですか? 十分とは言えない場合があります。譲渡の契約で第27条・第28条の権利が特掲されていないときは、譲渡した者に留保されたものと推定されます(第61条第2項)。文化庁は「第27条及び第28条の権利を含む」と記載しておく必要があると説明しています。著作者人格権は譲渡できないため、不行使特約の要否も別に確認してください。
Q3. 制作会社を変える時、前の会社に編集データを出してもらえますか? 契約で決めていなければ、当然に受け取れるとは限りません。公取委等の2026年6月の指針は、契約外の加工可能データ等の無償提供の要請を問題となり得る事例に挙げています。発注時に受け渡しの可否・形式・費用を書面で決めてください。
Q4. 社員が出演した動画は、退職後も使い続けられますか? 本人の同意の範囲が基準になります。同意書に期間・媒体と退職後の扱いを入れておき、迷う場合は弁護士等の専門家にご確認ください。
Q5. SNSアプリ内の音源を使った動画を、広告にも使えますか? アプリ内音源の利用条件は各媒体の規約で決まります。JASRAC管理楽曲を使った宣伝目的の動画には「広告目的複製」の手続きが必要とされています。広告に回す動画は、制作段階で音源の入手元と広告利用の可否を確認してください。
執筆者:林健斗(株式会社HolyTech 代表取締役)/SNS運用代行 累計250社以上 ショート動画を軸に店舗・企業のSNSマーケティングを支援。「顧客のその先へ」をミッションに、企画から分析まで一気通貫の運用代行を提供している。
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この記事を書いた人
林 健斗(はやし けんと)
株式会社HolyTech 代表取締役
2000年生まれ。大学在学中の2020年にSNSマーケティング事業を起業。再現性の高い運用ノウハウで、1人法人ながら34名の業務委託体制を構築し、累計250社以上へ継続率90%超で支援。漢方ヘッドスパで月間1,100万再生、動画編集スクールで初月640万再生など、業種横断で売上直結の成果を量産。「再生数ではなく売上で見る」を信条に、AI検索時代のSNS運用を提唱している。




