動画制作の補助金は「実質半額」で考えない|使える5制度の比較と交付決定前の発注NG|HolyTech
動画制作の補助金は、交付決定の後に発注・支払った経費だけが対象で、入金は実績報告の後です。持続化補助金(第20回)、デジタル化・AI導入補助金、新事業進出・ものづくり補助金、自治体の助成、人材開発支援助成金の5つを対象経費・補助率・入金までの期間で比べます。
結論から言います。「動画制作は補助金を使えば実質半額以下で作れる」は誤りです。補助金の対象は“交付決定の後に発注・支払いをした経費”だけで、入金は事業が終わって実績報告をした後です。採択されない回もあるため、全額を先に立て替える前提で計画してください。しかも動画制作“だけ”で申請できる国の補助金はほぼ無く、販路開拓の計画の一部として動画を位置づけられるかで使えるかどうかが決まります。
たとえば小規模事業者持続化補助金の第19回は、申請1万6,576件に対して採択7,819件(採択率47.2%)でした。申請しても半分以上は採択されていません。
本記事では、SNS運用代行 累計250社以上の株式会社HolyTechが、2026年10月5日時点の公募要領・公式ページをもとに、企業が動画制作費に使える5制度を比較します。個人の受講費は動画編集スクールの補助金は3制度、会計処理は動画制作費の資産計上で扱っています。補助率・上限は公募回ごとに変わるため、申請前に最新の公募要領を確認してください。
本記事と併せて、『ショート動画の教科書』を資料ダウンロード(無料)もご活用ください。
動画制作の補助金は5制度で比べる|対象経費×補助率・上限×入金までの期間
(第20回)
(第1回)
販路開拓・PR助成
(事業展開等リスキリング)
(旧IT導入補助金)
| 制度(2026年10月時点の公募回) | 動画制作で対象になる経費 | 補助率・上限 | 申請から入金まで | 動画制作で使うときの注意 | 向く企業 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金〈一般型・通常枠〉第20回 | 商品・サービスの宣伝動画(広報費)、自社サイト・ECに載せる動画(ウェブサイト関連費) | 2/3(一部3/4)・上限50万円(特例で最大250万円)。広報費・ウェブサイト関連費は各30万円が上限 | 申請2026年11月5日〜12月15日、採択2027年3月頃予定。入金は実績報告の後 | 広報費だけ・ウェブサイト関連費だけの申請は不可。会社案内や求人広告は対象外 | 従業員5人以下(製造業等は20人以下)で販路開拓計画がある事業者 |
| デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)通常枠 | 原則なし(対象は事務局に登録されたITツール) | 1/2以内(条件により2/3以内)・5万〜450万円 | 6次締切2026年10月30日、交付決定12月10日予定 | 動画の制作委託は登録ITツールに当たらない | 業務ソフトを入れたい企業(動画は別予算) |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回 | 新製品・新事業のPR動画(広告宣伝・販売促進費) | 1/2〜2/3(枠・規模で異なる)。革新的新製品・サービス枠は上限750万〜2,500万円、下限100万円 | 申請締切2026年10月30日18時、採択発表2027年1月頃予定 | 機械装置・システム構築費(枠により建物費)が必須。広告宣伝費の上限は年間売上見込みの5% | 設備投資を伴う新事業を計画する中小企業 |
| 自治体(都道府県・市区町村)の販路開拓・PR助成 | 企業紹介動画・販促動画(制度ごとに定義) | 例:東京都の市場開拓助成事業は1/2以内・限度300万円、東京都江戸川区の販路拡大支援事業助成金は動画1/2以内・上限10万円 | 制度ごと。事前申請型と事後申請型がある | 所在地・認定製品などの条件、他の助成との併用不可が多い | 本社所在地に制度がある企業 |
| 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース) | 制作費ではなく、社員が動画を作れるようになる研修の経費と賃金 | 中小企業は経費の75%・賃金1人1時間1,000円 | 計画届は訓練開始の6か月前〜1か月前。経費を全額払ってから支給申請 | 雇用保険の適用事業所が対象。令和8年度末までの時限措置 | 社内に動画担当を育てて内製化したい企業 |
国の補助金で動画を計上できる2制度も、「動画だけ」では申請できません。
「補助金で実質半額」は誤り|交付決定前の発注NG・全額立て替え・不採択の3つ
(様式4の発行締切 12月4日)
発注・契約・支払い(前払い含む)すべて
実績報告→補助金額の確定→入金
第19回の採択率は47.2%
「動画制作費の2/3が戻るなら、実質3分の1で作れる」と考える前に、次の3点を確認してください。
▼このコンセプトの「型」が分かる参考動画(弊社クライアントではない公開アカウント)
・webマーケターの例:「新しい情報であると冒頭で伝えることで「乗り遅れたくない」という人の心理を刺激する」(@osaru_tiktok1)
https://www.tiktok.com/@osaru_tiktok1/video/7578889104125889799
・プロと素人の比較の例:「プロと素人の比較動画を提示、その違いを視聴者に見せて権威付けしつつ、 何が違うの」(@takamatsu_cookingteacher)
https://www.tiktok.com/@takamatsu_cookingteacher/video/7467128173650644231

1. 交付決定前の発注・契約・支払いは対象外:持続化補助金の公募要領は、交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)をした経費を対象外と明記しています。採択通知の段階でも、まだ発注できません 2. 入金は最後:制作会社には自社で全額を支払い、事業の終了後に実績報告書を出し、補助金額の確定を経てから入金されます 3. 採択されない回がある:第19回の採択率は47.2%です。不採択なら全額が自己負担になります
持続化補助金の第20回を例に、申請から入金までの流れを並べます。
| 段階 | 時期(第20回の公募要領) | できること |
|---|---|---|
| 様式4の発行締切・申請受付 | 2026年12月4日・11月5日〜12月15日17時 | 商工会・商工会議所に依頼し、電子申請 |
| 採択発表 | 2027年3月頃(予定) | まだ発注できない |
| 交付決定 | 採択発表から概ね1〜2か月 | ここから発注・制作・支払い |
| 事業実施期限・実績報告期限 | 2028年3月31日・4月10日 | 支払いまで終え、成果物と証憑を報告 |
| 補助金額の確定・入金 | 実績報告の審査後 | ここで初めて入金 |
2026年の年末に申請しても、動画を発注できるのは早くて2027年の春以降です。「今すぐ動画が必要」なら、待つこと自体が機会損失になります。
助成金でも立て替えは同じです。弊社が商談した美容整体サロンには、人材開発支援助成金を使う場合の流れとして「研修費80万円を先に支払い、約7〜8か月後に60万円が振り込まれる」と説明しています。補助金・助成金は「後から一部が戻る」制度で、「最初から安く買える」制度ではありません。弊社の料金体系はショート動画運用代行の詳細(初期費用0円・1本無料お試し)にまとめています。
持続化補助金で動画制作費を計上するときの線引き|広報費とウェブサイト関連費
| 動画の用途 | 判定 | 計上区分 |
|---|---|---|
| 商品・サービスの宣伝のための動画制作 | 対象 | 広報費 |
| SNS広告の配信・SNSの運用代行 | 対象 | 広報費(補助事業期間内の分に限る) |
| 自社ホームページ・ECサイトに載せる商品販売のための動画 | 対象 | ウェブサイト関連費 |
| 単なる会社PR・会社案内 | 対象外 | ― |
| 求人広告(採用目的の動画) | 対象外 | ― |
| 有料配信する動画・有料講座で使う動画 | 対象外 | ― |
| 再生数や成果に応じて課金する成功報酬型の費用 | 対象外 | ― |
第20回の公募要領の記載を、動画の用途に当てはめて整理します。
| 動画の用途 | 計上区分 | 扱い(公募要領の記載) |
|---|---|---|
| 商品・サービスの宣伝のための動画制作 | 広報費 | 対象(「商品・サービスの宣伝のための画像や動画作成」が例示) |
| SNS広告の配信・SNSの運用代行 | 広報費 | 対象(「SNS広告、運用代行費」が例示)。補助事業期間内の分に限る |
| 自社ホームページ・ECサイトに載せる商品販売のための動画 | ウェブサイト関連費 | 対象(広報費ではなくこちらで計上) |
| 単なる会社PR・会社案内 | ― | 対象外(商品・サービス名や宣伝文句が無いもの) |
| 求人広告 | ― | 対象外(採用目的の動画は対象になりにくい) |
| 有料配信する動画・有料講座で使う動画 | ― | 対象外 |
| 再生数や成果に応じて課金する成功報酬型の費用 | ― | 対象外 |
金額面では、広報費とウェブサイト関連費は、それぞれ補助金交付申請額の上限が30万円(税込)です。また、発注総額が1件50万円(税込)を超える発注は、2者以上の見積もりを取り、安い発注先を選ぶことが求められます。見積書は「動画制作一式」ではなく、本数・単価・用途が分かる形で取ってください。内訳の読み方は動画制作の見積もりは最安に頼まないで整理しています。
もう1つの注意は「公開までが補助事業」という点です。公募要領は、広告を支払っても事業終了までに掲載されなければ対象外としています。補助事業期間内に動画を公開し、その記録まで残してください。
自治体の助成と人材開発支援助成金|事後申請の例と「研修費」という別ルート
自治体の助成は「事前申請か事後申請か」を最初に確認する。東京都江戸川区の販路拡大支援事業助成金は、外注した企業紹介動画の作成経費を1/2以内・上限10万円で助成し、事業を実施した後に申請する事後申請型です(申請期限2027年3月5日。国や都の助成を使う事業は対象外)。東京都の市場開拓助成事業(令和8年度)は動画制作費が対象経費に加わりましたが、展示会等参加費の申請が必須で、都や公社の認定等を受けた製品などが対象です。制度は年度ごとに変わるため、本社所在地の産業振興窓口で要綱を確認してください。
人材開発支援助成金は「動画を作る費用」ではなく「作れるようになる研修の費用」。事業展開等リスキリング支援コースは、新規事業などの事業展開やDXに伴う訓練の経費を中小企業で75%、訓練中の賃金を1人1時間1,000円助成します。条件は、実訓練時間10時間以上、訓練開始日の6か月前から1か月前までの計画届の提出、支給申請日までに訓練経費を全額負担することなどです。2026年8月3日の改正で、同じ労働者の受講は1年度3回まで(eラーニングは1回まで)となり、汎用的な内容の訓練は対象外と明記されました。厚生労働省は「訓練経費は無料になりません」とも案内しています。助成金研修の進め方は助成金を活用したSNS運用研修で詳しく扱っています。
内製化と外注は二者択一ではありません。上場保育事業者は広報部4名の内製を残して認知獲得の動画だけを外部化し、平均再生回数が約5,000回から約30,000回(約6倍)、冒頭3秒継続率は49%になりました(成果は業種・商圏で差があります)。研修で社内の担当者を育てる費用と、外注する費用を並べて比べてください。
動画制作の補助金を使う・使わないの判断と、依頼先に聞く質問5つ
使うかどうかは「待てるか」「立て替えられるか」で決まります。
| 判断軸 | 補助金を使うべき企業 | 使わなくてよい企業 |
|---|---|---|
| 時期 | 動画の公開が半年〜1年先でもよい | 今月・来月から集客に使いたい |
| 資金 | 制作費の全額を立て替えられる | 立て替えると資金繰りが苦しい |
| 計画 | 新商品・新サービスの販路開拓計画があり、動画はその一部 | 動画だけを作りたい・会社案内や採用が目的 |
| 規模 | 1回の制作費が数十万円以上で、事務作業に見合う | 少額を継続して本数を回したい |
商談した経営者の中には「補助金なしでも依頼できる内容でないと、ゆくゆく後悔する」と、補助金の有無で発注を決めない方もいました。弊社のショート動画運用代行は動画1本7,500円(税込)・月10本×4か月で30万円(税込)からで、補助金を待たずに始められる規模を比較軸の1つとして置いてください。外注を検討する場合はショート動画運用代行サービスの詳細(初期費用0円・1本無料お試し)も参考にしてください。
申請を外部に頼む場合、料金は着手金5万〜30万円程度に加え、成功報酬が補助金額の10〜20%程度という公開相場(解説記事で幅あり)があります。また2026年1月1日施行の改正行政書士法で、行政書士でない者が「いかなる名目によるかを問わず」報酬を得て官公署への提出書類を作ることは違反と明確化されました。持続化補助金では、第三者の支援を受けた場合に相手方と金額(着手金・成功報酬等)の記載が求められ、記載が無ければ不採択・交付決定取消になります。「キャッシュバックで実質0円」という勧誘は公募要領が補助金交付の目的に反する行為としており、不正受給は交付決定取消・返還命令・公表の対象です。
制作会社・申請支援者には、次の5つを質問してください。
1. 「この動画は、どの制度のどの経費区分(広報費・ウェブサイト関連費など)で計上する想定ですか」 2. 「交付決定日より前に、見積もり以外の発注・契約・請求が発生しませんか」 3. 「補助事業期間内に納品・公開・支払いまで終わるスケジュールですか」 4. 「見積書は本数・単価・用途が分かる内訳で出せますか(相見積もりにも対応できますか)」 5. 「申請書類の作成者は誰で、着手金・成功報酬はいくらですか(申請書への記載に同意できますか)」
まとめ:動画制作の補助金は「後から一部が戻る」制度。待てる・立て替えられる計画だけで使う
- 「補助金で実質半額」は誤り。対象は交付決定後に発注・支払った経費だけで、入金は実績報告の後。持続化補助金第19回の採択率は47.2%
- 動画を計上できる国の制度は持続化補助金(広報費・ウェブサイト関連費は各30万円上限、単独申請不可)と新事業進出・ものづくり補助金(機械装置等が必須)。旧IT導入補助金は原則使えない
- 自治体の助成は事前申請型と事後申請型がある。人材開発支援助成金は研修費が対象
- 判断軸は「公開まで待てるか」「全額を立て替えられるか」。申請支援は改正行政書士法と報酬の記載義務を確認する
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よくある質問(FAQ)
Q1. 動画制作だけで補助金を申請できますか? 国の主な補助金では困難です。持続化補助金は広報費のみの申請ができず、新事業進出・ものづくり補助金は機械装置等が必須です。動画単体なら、自治体の企業紹介動画の助成(例:江戸川区は1/2以内・上限10万円)が候補になります。
Q2. 採択されたら、すぐに動画制作会社へ発注してよいですか? いけません。持続化補助金では、採択後に見積書を提出し、交付決定を受けた日以降の発注・契約・支払いだけが対象です。交付決定は採択発表から概ね1〜2か月かかるとされています。
Q3. IT導入補助金で動画を作れますか? 2026年は「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」として実施され、対象は事務局に登録されたITツールです。動画の制作委託はこれに当たらないため、原則使えません。
Q4. 採用動画や会社紹介動画は持続化補助金の対象になりますか? 第20回の公募要領では、単なる会社PRや求人広告は対象外です。対象は商品・サービスの宣伝を目的とした動画で、判断に迷う場合は商工会・商工会議所に相談してください。
Q5. 人材開発支援助成金で動画を外注できますか? 対象は動画の制作費ではなく、社員の訓練の経費と訓練中の賃金です。事業展開等リスキリング支援コースは中小企業で経費の75%を助成し、計画届は訓練開始日の6か月前〜1か月前に提出します。令和8年度末までの時限措置です。
執筆者:林健斗(株式会社HolyTech 代表取締役)/SNS運用代行 累計250社以上 ショート動画を軸に店舗・企業のSNSマーケティングを支援。「顧客のその先へ」をミッションに、企画から分析まで一気通貫の運用代行を提供している。
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この記事を書いた人
林 健斗(はやし けんと)
株式会社HolyTech 代表取締役
2000年生まれ。大学在学中の2020年にSNSマーケティング事業を起業。再現性の高い運用ノウハウで、1人法人ながら34名の業務委託体制を構築し、累計250社以上へ継続率90%超で支援。漢方ヘッドスパで月間1,100万再生、動画編集スクールで初月640万再生など、業種横断で売上直結の成果を量産。「再生数ではなく売上で見る」を信条に、AI検索時代のSNS運用を提唱している。




