不動産のSNS戦略は物件紹介では積み上がらない|売買・賃貸・新築・投資用の比較表と表示規約|HolyTech
不動産のSNS戦略は、物件紹介の投稿では積み上がりません。売買仲介・賃貸仲介・新築分譲・投資用の4業態で媒体・コンテンツ・KPIを比較し、首都圏不動産公正取引協議会のSNS実態調査と宅建業法から物件投稿の注意点、内製と代行の判断基準を整理します。
結論から言います。不動産のSNSで積み上がる資産は「物件」ではなく「街と人(担当者)」です。物件は成約・募集終了で消え、SNSに載せれば表示規約(物件概要の表示義務・おとり広告の禁止)もそのままかかります。SNSは街と担当者の発信で信頼を貯め、物件そのものはポータル・自社サイトに流す設計が、反響と規約対応の両方で合理的です。
いえらぶGROUPの調査(2026年4月28日公表・エンドユーザー706件)では、部屋探しで今後利用したい手段は不動産ポータルサイトが60.5%で最多、SNSは27.2%でした。物件を探す場所としてはポータルが主役です。同社の2025年1月公表の調査(不動産会社388件)では、SNSを運用中の会社は34.8%、運用を停止した会社が22.9%でした。
本記事では、SNS運用代行 累計250社以上の株式会社HolyTechが、業態別の戦略、物件投稿のルール、内製と代行の判断基準を解説します。業種でSNSの効き方が決まるかの全体像はSNS運用代行は業種で効くか決まらないで扱っています。
本記事と併せて、『ショート動画の教科書』を資料ダウンロード(無料)もご活用ください。
不動産のSNS戦略は業態4つで分ける|売買・賃貸・新築・投資用の比較表
不動産会社と一口に言っても、客単価・検討期間・誰を口説くかが業態ごとに違います。同じ「Instagramで物件紹介」を全業態でやると、KPIも撮るべき素材も合いません。
| 業態 | 主な媒体 | コンテンツの型 | KPI | 表示規約・法令上の注意 | 向く体制 |
|---|---|---|---|---|---|
| 賃貸仲介 | Instagramリール・TikTok | ルームツアー(担当者出演)・街紹介・初期費用や手数料の仕組み解説 | LINE登録・内見予約 | 物件投稿は物件概要が必要。「格安」「最高」等の特定用語は合理的根拠なしに使えない | 店舗スタッフが撮影し、編集・分析を外部に任せるハイブリッド |
| 売買仲介(売主集客) | YouTube(検索型)・Instagram | 相場・税金・相続の解説、担当者の人柄、売却の流れ | 査定依頼・個別相談 | 価格・利回りの表現は根拠を確認。成約済み物件の掲載継続はおとり広告 | 代表・担当者が出演し、企画・編集を外部へ |
| 新築分譲・注文住宅 | Instagram・YouTube | 施工・建築の工程、完成見学会、住み心地の取材 | 見学会予約・資料請求 | 工事完了前の物件は建築確認等の後でないと広告できない(宅建業法第33条) | 現場撮影は社内、編集を外部 |
| 投資用 | YouTube・X | 市況・ローン・リスクの解説、代表の考え方 | 面談予約・セミナー申込 | 収益・将来価格を断定する表現は誇大広告(宅建業法第32条)の観点で根拠を確認 | 代表が語り手。検索KW設計を外部と共同 |
ポイントは、物件が主役になるのは賃貸仲介だけで、その賃貸でも主役は物件より「案内する人」だという点です。売買仲介と投資用は1件あたりの単価が大きく検討期間も長いため、再生数よりも「この人に相談したい」と思われる解説の蓄積が効きます。弊社もSNSと相性が良い商材として、検討期間が長い高単価・無形の不動産売買を挙げています。弊社の料金体系はショート動画運用代行の詳細(初期費用0円・1本無料お試し)にまとめています。
「物件紹介を投稿すれば反響が来る」は誤り|積み上がるのは街と人の発信
・投稿のたびに物件概要の表示が必要
・成約後に放置するとおとり広告の問題になる
多くの不動産会社は、SNSを「ポータルの物件をもう一度並べる場所」として始めます。しかし物件は成約で消えるため資産が残らず、成約後に投稿を放置すればおとり広告の問題になります。
▼このコンセプトの「型」が分かる参考動画(弊社クライアントではない公開アカウント)
・tiktokerの例:「1ヶ月の広告収益や事業収益を赤裸々に発表する。」(@mona03070_)
https://www.tiktok.com/@mona03070_/video/7574384949634059540
・プロと素人の比較の例:「プロと素人の比較動画を提示、その違いを視聴者に見せて権威付けしつつ、 何が違うの」(@takamatsu_cookingteacher)
https://www.tiktok.com/@takamatsu_cookingteacher/video/7467128173650644231

不動産仲介会社(賃貸・売買/社員10名ほど)の例:弊社が約3年支援している会社は、当初、玄関を開けるところから物件に入る「長回し1本撮り」の動画で、冒頭3秒の継続率が低い状態でした。構成を見直し、さらにキャスト(人物)が映る動画と映らない動画を比較したところ、人物ありの動画の方が平均再生回数が明確に高い結果になりました。ピン留め動画では業界の手数料の仕組みを解説し、セカンドオピニオン(他社の見積もりの妥当性確認)を公式LINEへの誘導のオファーに据えています。現在のフォロワーは8.5万人、繁忙期(2〜4月)のリンクタップ(≒LINE登録)は月平均166件、リンクタップ率は月2.7〜3.95%です。同社は対談で「アカウントが名刺代わりになり、紹介客や同業者の信頼が上がる」と話しています。
相続不動産の売買仲介会社の例:売主は人生で何度も現れない顧客のため、再生数を追わず、「相続税 不動産」などで検索する人に向けたYouTubeの解説動画(ロング動画)に絞りました。チャンネル登録者は2.7万人で、数年前の動画が今も検索上位に表示され、LINE登録(特典の税制ガイド)から個別相談につながる導線になっています。成果は業種・商圏で差があります。
弊社が商談で伺った地方の不動産会社は、欲しい顧客が売買の売主で、集客はSEO・MEOが中心でした。こうした会社が物件紹介から始めても売主には届きません。先に作るべきは、地域の相場や売却の流れを語る担当者の発信です。
SNSの型そのものは、どの業態でも次の3つに集約できます。
1. 街の発信:駅から物件までの道のり、商店街、学区など、ポータルの物件ページに載らない周辺情報 2. 人の発信:担当者の人柄、案内の様子、よく受ける質問への回答。弊社のショート動画170本の実測では、話者(誰が話すか)で再生数に2〜5倍の差が出ています 3. 仕組みの発信:初期費用・仲介手数料・相続や税金の流れなど、顧客が知らない業界の仕組み
不動産のSNS投稿にも表示規約と宅建業法がかかる|物件を載せるときの確認5つ
首都圏不動産公正取引協議会は2026年3月19日、Instagramの不動産広告の実態調査を公表しました。物件を販売・募集中の広告436件を調べた結果、表示規約第8条の必要な表示事項(物件概要)を漏れなく表示していた広告は1件もありませんでした。宅建業法の免許証番号は89.0%、取引態様は86.5%が不表示で、賃貸物件では56.5%が賃料を表示していませんでした。同協議会は「ポータルサイトもSNSもインターネットを介して行われる不動産広告であり、ルールは同じ」とし、DMへの誘導を優先して物件概要を意図的に表示しないことは「あってはならない」と明記しています。
| ルール(根拠) | SNSで起きやすい場面 | 対策 |
|---|---|---|
| 必要な表示事項(表示規約第8条) | 物件動画に賃料・所在地・取引態様を書かず「詳細はDMで」とする | キャプション・コメント欄・画像化した概要、またはタップで遷移できるリンク先で物件概要を表示する |
| 特定用語の使用制限(表示規約第18条第2項) | 「#格安物件」「コスパ最強」「日当たり最高」をハッシュタグや動画の音声で使う | 合理的根拠を持たない限り使わない。ハッシュタグ・音声も規制対象 |
| おとり広告の禁止(宅建業法第32条・表示規約第21条ほか) | 成約済みの物件動画を削除せず残す・固定表示し続ける | 成約時に投稿を削除・非表示にする担当と期限を決める |
| 広告の開始時期の制限(宅建業法第33条) | 建築確認前の新築を「近日公開」として先出しする | 確認等の処分後に物件広告を始める。工事前は街・会社の発信にとどめる |
| 取引態様の明示(宅建業法第34条) | 売主か媒介かを書かずに投稿する | 物件概要とあわせて明示する |
同調査では、合理的根拠なく使えない特定用語(「最強」「破格」「抜群」「最高」「格安」「希少」)で抽出した広告1,771件のうち、91.6%が賃貸マンション・アパートでした。協議会は、賃貸を売買より規制が緩いと考えているなら「大きな間違い」としています。国土交通省も2023年1月12日の通知で、成約済みの物件を速やかに広告から削除せずに掲載することは「おとり広告」に該当すると示しています。
同協議会は、物件の紹介を一切しない企業広告的な投稿であれば表示規約上問題になる可能性は低くなる、とも述べています。つまり、物件投稿は規約対応のコストが毎回かかり、街と人の発信はそのコストが小さい。これが「物件はポータル・自社サイトへ流す」と勧める理由です。個別の表示が規約に当たるかは、各地区の不動産公正取引協議会や弁護士等にご確認ください。費用の目安はショート動画運用代行の料金・事例(サービス詳細)でも公開しています。
物件はポータル・自社サイトへ流す|SNSからの導線設計
街と人の発信で信頼を貯めたら、物件と問い合わせへの導線を分けて設計します。
1. SNS(認知):街・人・仕組みの動画で「この会社に相談したい」を作る。KPIは冒頭3秒継続率と平均再生 2. プロフィール・ピン留め(教育):会社の強み、探し方・売り方の流れを1〜2本の動画にまとめて固定する 3. 公式LINE(行動):内見予約・査定依頼・個別相談の窓口を1つに集約する。KPIはLINE登録数と予約数 4. ポータル・自社サイト(物件):物件概要は登録フォームが整ったポータル・自社サイトに置き、SNSやLINEからはそのページへ案内する
前述の協議会調査も、ポータルは登録フォームで物件概要が充足する一方、SNSは事業者の認識次第で表示漏れが起きると指摘しています。店舗型の集客導線の作り方はインスタ集客のやり方7ステップ、売買・投資用で検索型のYouTubeを使う場合の目標設定は企業YouTubeは登録者数を目標にしないが参考になります。
不動産のSNSは内製か代行か|判断表と依頼前の質問5つ
いえらぶGROUPの前述の調査では、SNSの運用を続けている不動産会社の39.4%に「広報・SNS担当者」がいた一方、運用を停止した会社では17.9%でした。続くかどうかは担当者の有無で分かれます。
| 体制 | 費用の目安 | 向く会社 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 内製 | 担当者の人件費(外注費0円) | 撮影・編集・分析まで担える担当者がいる会社 | 繁忙期に投稿が止まりやすい。表示規約のチェックも社内で完結させる |
| ハイブリッド(撮影は社内・編集と分析を外部) | 動画の本数単価×本数(弊社は1本7,500円(税込)) | 店舗スタッフが現場・物件を撮れる賃貸仲介・新築分譲 | 撮影の頻度を社内で守れるか |
| 企画から投稿まで代行 | 月5万〜80万円(業務範囲による公開相場) | 担当者を置けない売買仲介・投資用 | 発言内容と物件表示の最終承認は社内に残す |
運用代行の公開相場はSNS運用代行の費用相場は月5万〜80万円にまとめています。外部に頼む場合は、契約前に次の5つを確認してください。
1. 業態に合わせたKPIを置きますか:賃貸なら内見予約、売買なら査定依頼など、フォロワー数だけの報告で終わらないか 2. 出演者と撮影は誰が担いますか:担当者が出る設計か、素材待ちで止まらないか 3. 物件投稿の表示規約チェックは誰がしますか:物件概要・特定用語・成約後の削除を誰が確認するか 4. ポータル・LINEへの導線まで設計しますか:動画だけ作って終わらないか 5. 解約・本数変更の条件はどうなっていますか:合わなかったときの損失の上限
外部とのやり取りで失敗しやすい点はSNS運用の外注はコミュニケーション設計で決まるで整理しています。
まとめ:不動産のSNS戦略は「街と人」で信頼を貯め、物件はポータルへ流す
- 戦略は賃貸仲介・売買仲介・新築分譲・投資用で分け、媒体とKPI(内見予約・査定依頼・見学会予約・面談予約)を業態ごとに決める
- 物件は成約で消え、SNS投稿にも表示規約がかかる。Instagramの物件広告436件のうち、物件概要を漏れなく表示していたのは0件だった
- 積み上がるのは街・人・仕組みの発信。人物が映る動画の方が再生が高く、手数料の仕組みの解説がLINE登録のオファーになった
- 体制は内製・ハイブリッド・代行の3択。どれでも物件表示の最終確認は社内に残す
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よくある質問(FAQ)
Q1. 不動産会社のSNSは物件紹介をしてはいけないのですか? してはいけないわけではありません。物件を載せる場合は、ポータルと同じく物件概要の表示が必要で、成約後は速やかに削除する必要があります。運用の負担が大きいため、SNSの主軸は街・人・仕組みの発信に置き、物件はポータル・自社サイトへ案内する設計をおすすめしています。
Q2. 不動産のSNSはどの媒体から始めるべきですか? 賃貸仲介や新築分譲はInstagramのリール、売主・投資家を集めたい売買仲介や投資用は検索されるYouTubeの解説動画が向きます。最初は業態に合う1媒体に絞り、KPIを1つ決めてください。
Q3. 社員の個人アカウントで物件を紹介しても表示規約はかかりますか? 首都圏不動産公正取引協議会の資料では、物件の販売や入居者募集を目的とした投稿は、個人用アカウントであっても表示規約上の「表示」に当たるとされています。個別の判断は各地区の不動産公正取引協議会や弁護士等にご確認ください。本記事は法的助言ではありません。
Q4. SNSから問い合わせが来るまでどのくらいかかりますか? 業態・商圏・投稿本数で差があるため、一律の期間は示せません。目安として、最初は冒頭3秒継続率と平均再生で動画の型を固め、型が決まってからLINE登録・内見予約の数で判断する進め方をおすすめしています。
Q5. 少人数の不動産会社でもSNS運用はできますか? できます。弊社が支援する不動産仲介会社は社員10名ほどで、撮影は社内、編集・分析は弊社の分担で約3年続いています。担当者を決め、撮影を業務に組み込むことが前提です。
執筆者:林健斗(株式会社HolyTech 代表取締役)/SNS運用代行 累計250社以上 ショート動画を軸に店舗・企業のSNSマーケティングを支援。「顧客のその先へ」をミッションに、企画から分析まで一気通貫の運用代行を提供している。
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この記事を書いた人
林 健斗(はやし けんと)
株式会社HolyTech 代表取締役
2000年生まれ。大学在学中の2020年にSNSマーケティング事業を起業。再現性の高い運用ノウハウで、1人法人ながら34名の業務委託体制を構築し、累計250社以上へ継続率90%超で支援。漢方ヘッドスパで月間1,100万再生、動画編集スクールで初月640万再生など、業種横断で売上直結の成果を量産。「再生数ではなく売上で見る」を信条に、AI検索時代のSNS運用を提唱している。




